キンプリは「神に誇ってもよいほどの傑作」だという話(前)

 

僕はジムノペディというピアノ曲がとても好きだ。

 

もともと有名な曲であるし、賢明なオタク諸氏におかれては劇場版涼宮ハルヒの消失やPCゲーム魔法使いの夜で使用されていたこともあり、どこかで耳にしたことがあるのではないだろうか。

 

いい曲なのである。

 

で、この名曲に対して伊福部昭という方が送った賛辞にこういうものがある。

 

「人類が生みえたことを神に誇ってもよいほどの傑作」

 

不肖の身ながら、僕はこの言葉をKING OF PRISM-Shiny Seven Stars-をはじめとするキンプリシリーズに贈りたい。

 

 

自分はシリーズ未視聴の状態で劇場応援上映キンプラKING OF PRISM-PRIDE the HERO-)を観てすっげえ!クッソ面白え!となり、その翌週には4DX上映に繰り出す程度にはキンプリにハマっており、SSS各話も最速上映、応援上映の初回でそれぞれ2回ずつは視聴した。

 

だが、(今にして思えば後悔しかないのだが)キンプリの前シリーズであるプリティーリズム・レインボーライブはSSS3章の1回目を見るまではついぞ視聴しなかった。

 

この時点までは僕の中でキンプリ=「荒唐無稽なことがバンバン連発で起きてめちゃくちゃ笑える、なんかちょっと熱いアニメ」に過ぎなかった。

 

が、SSS3章を一緒に観た友人が言った。

 

プリティーリズム・レインボーライブを観ていれば、3章はめちゃくちゃ泣ける」と。

 

キンプリが泣ける?何を言っているんだこいつは?

このアニメはギャグテイストの時のテニプリみたいなハチャメチャと謎の熱さを爆笑しながら見るもんだろうと。

 

まあ物は試しだ。前々から興味はあったし観てみるか…。しかしネット配信とかどこでしてるのかな…?と思ったら公式チャンネルがyoutubeで無料公開してくれているではないか。

いい時代になったもんだね…と思いながらレインボーライブ全51話を1週間で視聴(SSS3章最速上映の翌週に応援上映を予定していたため)。

 

で、観た結果。

 

まずそもそもレインボーライブが面白すぎるわ。

 

プリズムショーとプリズムジャンプという、ともすれば荒唐無稽で極度に児童向けになってしまいかねない主題を一本の大きく太い柱として、少年少女たち同士の関係性の変化、子供と親の関係性の変化、そして彼ら彼女ら自身が自分を見つめ直すことによる成長を丁寧に繊細に、そして大胆に描ききっている…。

べる様の成長と終盤のわかなのチャレンジを観て感動しない人はいないんじゃないの???

 

レインボーライブへの言及はそこそこにしておいて、レインボーライブを鑑賞した上でSSS3章を再度観に行った結果。

 

 

 

ユウ君「プリズムラアアアイブ!!」

ぼく「ウワアアアアアアアアアアアア!!!」

 

号泣である。

 

レインボーライブ劇中で不運な生活を乗り越え、姉であるいとちゃんやべる様に憧れてプリズムスタァとなったユウ君。

エーデルローズの一員として活動する中で、ヒロ様にとってのオーバー・ザ・レインボー、いとちゃんにとってのハッピーレイン、べる様にとってのベルローズのような同年代の仲間が自分にはいないんじゃないかと悲嘆に暮れるユウ君。

そのユウ君に寄り添い、お互いが真の仲間であることを静かに示したシン君たちエーデルローズ組。

その喜び、心の煌めきを歌と歌詞に込め、プリズムワンの舞台で披露するユウ君。

 

そこで満を持して繰り出されるプリズムライブ!

レインボーライブでの超重要ファクターでありながら、キンプリシリーズでは誰もやっていなかったプリズムライブ!

べる様ですら成し得なかった、ペアとも無しでのプリズムライブ!

他のどのキャラクターでもなく、涼野ユウが繰り出すプリズムライブ!!

 

しかもギター→ドラム→キーボードと、ハッピーレインメンバーのプリズムライブを全て踏襲していく!

そしてこれまたシリーズの重要ファクターであるフェザーを背中に生やしたユウ君は、ハッピーレインのいる空、オーバー・ザ・レインボーのいるパラダイス、ベルローズがいる宣誓の峻嶺を超え、エーデルローズの6人と共に夜空に燦然と輝く星座になる!

 

 

ああ…

イロモノとしてしか観ていなかったキンプリが、レインボーライブを観たあとではとてつもなく巨大で爽やかな感動とともに僕の感情に押し迫ってくる…

 

最高of最高かよ…。

 

語彙が消失するレベルで最高…。

声を失って滂沱の涙を流したよ…。

 

 レインボーライブ未視聴のときには分からなかった、感じなかった大きな感動に全身が包まれ、上映終了と同時に全力で拍手をしていた。

もちろん、他の観客も僕と同様に拍手をしている。

 

この光景が傍から見たら異様なのはわかっている。いい年した連中が涙やら鼻水やら垂れ流しながらアニメを観て割れんばかりの喝采を送っているのだ。

それでも思った。

ここはなんと素晴らしい場所なんだと。今はなんと幸福な時間なんだと。

 

僕たちの人生をこんなにも豊かにしてくれるキンプリという作品はなんと煌めきに満ち満ちているのかと。

この作品は人類の1つの到達点ではないのか、と。

 

改めて言おう。

 

キンプリは「人類が生みえたことを神に誇ってもよいほどの傑作」であると。

 

 

4章を観た感想も書こうと思ったのにもう2000字以上書いてしまった。キンプリの素晴らしさは本当に語り尽くすことができない。そちらは別途。